あなたのあの日が、ここにある。

 

さっぽろ狸小路グラフィティー
- Sapporo Tanukikouji Graffiti -

和田由美/著

本体1,400円+税
四六判ソフトカバー(図版多数収録)
224ページ(ほか、カラー口絵8ぺージ)
ISBN 978-4-906740-04-8 C0095

  • かつては、全道から買い物客が集まった老舗商店街・狸小路。140年におよぶその歴史は、札幌の歴史そのものといえます。そんな庶民とともに歩んできた商店街の明治から現在に至る変遷を、80余店の最新ルポや歴史トリビア、街並みの変遷図などで紹介。
  • 北海道新聞好評連載のルポは、明治・大正生まれの店から平成生まれの店まで、歴史と人物をたっぷり紹介。有名店の意外な歴史や人気の酒場など、古き商店街のディープな魅力にスポットをあてます。
  • さらに、狸小路の歩みをダイジェストでたどる「狸小路ヒストリー」や、明治から平成までの街並みの変化を丁目ごとに紹介する「街並みの変遷」、さらに著者と狸小路の思い出をつづる「記憶の中の狸小路」など、意外なエピソードや知られざる事実を掘り起こします。
  • 都市の街並みから消えつつある界隈性を、今なお残す狸小路商店街。その歩みと魅力、そして素顔を凝縮した好評シリーズ第4弾。

誌面紹介

▼ぶらり散策した感覚で狸小路の今を紹介する「狸小路スクラップ帖」

 

▼明治創業の老舗から平成生まれの新店まで、全81軒の歴史と人物をルポで紹介

 

▼各丁目の明治から現在までの移り変わりを、図と文章で紹介する「街並みの変遷」

 

▼狸小路の歴史トリビアや思い出の店などを紹介する「記憶の中の狸小路」

あとがきより

 狸小路周辺にオフィスを構えて40年余り。「なぜ狸小路なの?」と訊ねられても困るけれど、東京の下町にも似て新旧が混在して猥雑なところが、私にとって魅力的だった。もうひとつの理由は、老朽ビルが多く家賃が安かったこと。
 昭和51(1976)年に設立した編集工房「プロジェクトハウス亜璃西」は、デザイナーやカメラマンなど一匹狼が集まり、狸小路ビルにオフィスを開いたのが始まり。若くて体力はあるものの、とてつもなくビンボーだった。金目のものといえばカメラぐらい。
 そんな体たらくだから、隣の会社が泥棒に入られても、こちらは無事だった。ようやく入られたと思ったら、貯金箱から1円玉だけを選り分け、これ見よがしに置いていかれた。カメラ2台と1円玉以外の小銭を持って……。その時はさすがに腹が立ったものだ。
(中略)
 さて、本書はグラフィティー・シリーズの第4弾で、私が書いたものとしては3冊目にあたる。今回も狸小路の方々を始め、様々な方のお世話になりながら、私の仕事の原点ともいうべき〝狸小路〟を、ようやく一冊にまとめることができた。本当にありがとうございます。
(後略)

目次

序 狸小路ヒストリー
 ネーミングの陰に女あり/芝居小屋が呼び水に
 人を呼ぶ寄席と勧工場/ビールと映画で歓楽街に
 町内会が生んだ鈴蘭灯/初代アーケードが誕生

I 明治・大正生まれの店
 中川ライター店(明治35年・4丁目)/いとうワイシャツ(明治38年・2丁目)
 齋藤印房(大正元年・1丁目)
 ビヤホールライオン 狸小路店(大正3年・2丁目)
 たぬきや(大正5年・4丁目)/お米の井上(大正9年・9丁目)
 アガタ薬局(大正10年・6丁目)/松山額縁店(大正13年・5丁目)
 札幌プラザ2・5(大正14年・5丁目)

II 昭和前期生まれの店
 幸乃園 安中茶舗(昭和2年・7丁目)/宮文刃物店(昭和2年・2丁目)
 焼肉亭サム(昭和2年・6丁目)/おくむら生花店(昭和3年・2丁目)
 リカープラザ鈴木(昭和3年・6丁目)/和装履物 現代屋(昭和8年・3丁目)
 とらや製帽(昭和9年・7丁目)/う月食堂(昭和10年・7丁目)
 さとう洋装店(昭和10年・2丁目)/八光書房(昭和10年・8丁目)
 ワークマン・ナガイ(昭和12年・1丁目)
 富士メガネ 本店(昭和14年・4丁目)

III 昭和後期生まれの店
 サン・フルーツ(昭和20年・3丁目)/トミヤ橋本刺繍店(昭和20年・8丁目)
 三室印房(昭和20年・5丁目)/キクヤ(昭和20年・3丁目)
 風早金銀店(昭和22年・7丁目)/紅屋(昭和24年・2丁目)
 ウイーン(昭和34年・7丁目)/札幌新倉屋本店(昭和35年・6丁目)
 梅沢無線電機 札幌営業所(昭和42年・7丁目)
 金富士酒場 支店(昭和43年・10丁目)/河童鮨(昭和44年・10丁目)
 下倉孝商店(昭和46年・6丁目)/みよしの 狸小路店(昭和47年・2丁目)
 照明のサイトー(昭和47年・8丁目)
 じゃがいもHOUSE(昭和52年・4丁目)
 ロシア風居酒屋 バール・コーシカ(昭和52年・6丁目)
 マルフジT・C・BOX(昭和53年・2丁目)
 理容室 とこや一休(昭和53年・8丁目)
 カレー料理専門店 デリー(昭和57年・1丁目)
 パスタしゃべりたい(昭和57年・4丁目)
 アルキ&アリエ 占いタロット館(昭和59年・7丁目)
 炭や 狸小路店(昭和61年・7丁目)
 札幌相撲茶屋 ぽんぽこ亭(昭和63年・3丁目)

IV 街並みの変遷――明治から平成まで
 1丁目/2丁目/3丁目/4丁目/5丁目
 6丁目/7丁目/8丁目/9丁目/10丁目

V 平成生まれの店
 シアターキノ(平成4年・6丁目)/Fresh Air(平成5年・7丁目)
 MOJANE(平成6年・1丁目)
 原宿アイドル写真館 札幌店(平成10年・6丁目)
 くさかカバン店/日下公司(平成11年・8丁目)
 ガッチャ(平成16年・1丁目)/小狸屋(平成17年・1丁目)
 光栄堂楽器 札幌ギターショップ(平成18年・5丁目)
 スタジオダッシュ(平成18年・6丁目)
 グラス・クリエイト(平成20年・6丁目)

VI 平成生まれの飲食店
 喜来登(平成5年・6丁目)/開拓屋(平成5年・1丁目)
 ラーメン 一徹(平成9年・7丁目)/炉端焼 めんめ(平成11年・6丁目)
 FAB cafe(平成11年・8丁目)/中国茶専門店 楼蘭(平成12年・9丁目)
 だいふく(平成12年・6丁目)/新加坡酒楼 KOPITIAM(平成13年・7丁目)
 三角山 五衛門ラーメン(平成14年・9丁目)
 居酒屋 炭おやじ(平成14年・7丁目)
 らーめんサッポロ赤星(平成16年・7丁目)
 炉ばた 肴や(平成16年・7丁目)/担々亭(平成17年・6丁目)
 カフェ&バーBETTY(平成19年・6丁目)
 WINE厨房 月光(平成19年・7丁目)/正福屋(平成19年・6丁目)
 フランス食堂 クネル(平成20年・8丁目)
 味付ジンギスカン じんじん(平成20年・4丁目)
 HUGマート(平成20年・5丁目)/うどん 一久(平成21年・1丁目)
 ラーメン薫薫(平成21年・8丁目)/魚平(平成21年・6丁目)
 オステリア クロッキオ(平成23年・8丁目)
 音楽居酒屋 MINI BEG(平成23年・6丁目)
 居酒屋 くっちゃん(平成23年・10丁目)
 佐世保バーガー ログキット 札幌狸小路店(平成23年・1丁目)
 煮込み・もつ焼き いなり(平成23年・6丁目)

VII 記憶の中の狸小路
 §1 狸小路、抜けられます。
 §2 “映画館通り”だった、あの頃。
 §3 歴史を飾る、思い出の店あれこれ。

◆ぽんぽこCOLUMN
 ①君は「狐小路」を知っているか?/②幻の札幌エッフェル塔
 ③黄金回路も世につれ人につれ/④嗚呼!現金つかみどり
 ⑤愛しのレミー/⑥歴代テーマソング秘話

著者プロフィール

和田由美(わだ・ゆみ)
 1949年北海道小樽市生まれ。藤女子短大英文科卒。タウン情報誌「ステージガイド札幌」編集長を経て、ベストセラー『さっぽろ青春街図』を編集者として世に送り出す。1988年、亜璃西社を設立して代表取締役社長に。社業の傍ら、各紙誌に連載を持つエッセイストとしても活躍。著書に『北海道 究極の食材めぐり』(JTBパブリッシング)、『こだわりのロングセラー』(共同文化社)、『日曜日のカレー』『さっぽろ喫茶店グラフィティー』『さっぽろ酒場グラフィティー』(以上、亜璃西社)など多数。